ハンバーガーに端を発する日々の所感


ハンバーガーの使い方

 いつも長たらしい文章ばかりなんで、たまには短くズバッと決めますか!

 ハードワークの後、ひと仕事やっつけた達成感の中でビールと味わうハンバーガーはもぉ〜最っ高!!コレ覚えるとクセになるヨ。どういう理屈かという細かい話はココに任せるとして、とにかくキモチがイイ。

 同様にライヴを観終わった後、スポーツ観戦の後など熱くなるイベントの後には、居酒屋で遠慮しいしいほっけの開き突付いてなどいないで、イベント後の勢いのまま美味しいバーガー屋へ直行!ハイテンションでかぶり付くハンバーガーはもぉ〜!その日一日がきわめて充足した気分のまま締めくくられること請け合い。これぞハンバーガーの使い方。とにかくきゅーっとビール!!

(2006.7.15)


雨後の筍

 いまやハンバーガーはブームを迎えている。世間がそれをはっきり意識するようになるまでには、もう少しだけ時間がかかるかも知れないが、少なくともハンバーガーを扱う飲食店がひと頃に比べ急増しているのは間違いのないところだろう。その業界に身を置いたことの一度も無い"ど素人"である私には、流行りのメニューがどのようにして作られ、そして広まるのか、その辺りのメカニズムがなんとも不思議でしょうがないのだが、とにかく至る所で置き始めたという現象については、昨年から始めたこの一連の調査活動の中で確かに実感出来たことである。いや私が活動を始めた頃には既にブームの波は相当に高まっていたかも知れない。さらにココに来て目に見えて増えた。今までハンバーガーとは無縁であったろうその辺のカフェでも俄かに置くようになり、ファミレスが置き(そろそろデニーズに期待している)、そして今や南欧料理店のメニューにも上ぼるほどである。遅れをとるな、後に続けと、各店こぞってハンバーガーを扱い始めたのである。さぁこうなればコレはもはや雨後の筍状態である。後から後からニョキニョキと生えてくる。いまやこの大東京はコンクリートジャングルではなくて、ハンバーガーの雨後の竹林の中を(←"Rain Forest"/WALTER WANDERLEY)、おっ此処にも、また此処にも……と踏み分け踏み分け、彷徨い歩いているようなものである。

 こういう状況に至るまでの過程においてマクドナルドの天下に横穴を開けたのはモスバーガーだろうという見方は、少なくともある一側面においては正しいことだと私は思っている。但しその辺あくまで感覚的なものであって、確たる裏づけは無い。しかし大勢としてはそんなところだろう。もちろんマックを起点として出発した筈のスパイラルにマック自身落ち込んでいった――という経緯が前提としてまず大きく存在するワケであるが、だがそれだけのことでは、ただ一企業の売上げが思わしくなくなってきた――というだけのことにしかならず、消費者の志向が変化する――という大局にまでは至らない。やはり「誰か」が、マックの天下の翳りを巧みに突くような行動をとった筈なのである。マックに追随していたロッテリアにはそれが出来なかった。ファーストキッチンは路線転向に傾いていた。フレッシュネスはオトナなバーガーの楽しみ方こそ提案していたが、そのはるか以前より、マックとはまるで違う方向性を掲げて推し進んでいたのは独りモスバーガーのみである。モスバーガーは、マックと同義として語られるハンバーガーの固定観念を、時間はさすがにかかったけれど、それでもゆっくりと解きほぐしていった。"匠味"でそれは顕著になり、周囲も恐る恐るながら、その流れに着いてゆき始めた(その頃私はハンバーガーには全く関心がなかった)。なんとなく流れが広がり、価格に幅が生まれ、種類の選択も魚にするかコロッケにするか……というヨコの選択でなく、安いハンバーガーを出す店からその七、八倍するバーガーを出す店までタテにグンと広がって、消費者はTPOに合わせてハンバーガーの使い分けが出来るようになったのである。ハンバーガーに対する考え方はこの間に一気に寛容になった。KUA`AINAの登場も世間の物の見方を柔らかくするのにあるいは一役買ったかも知れない。このハワイ生まれのハンバーガーは、都内ちょっとお金の取れそうなスポットに店を構えて大いに受け入れられた。ただ思うに、KUA`AINA自身が今の流れの源を創造していったワケなのではなくて、そもそもの好機と土壌は上のような過程を経て、そのとき既に出来上がっていて、その機に乗じてフード界の仕掛け人か誰かが目敏く動いた――ととらえる方が、実態により近いような気はする。

 そんなことがあって今がある。まだしばらくは一個千円もするハンバーガーを食べるくらいならビックマックが何個食べられる……とか、そうした議論(ないしは勘定)が巷間に続くだろうが、ソノ手の話はコノ場ではとりあえず置いておく。今回触れたかったのは、当企画の"今後の方針"についてである。

 ほどなく世の中、雨後の筍状態が訪れる。既に芽は出始めている。門戸が開けて、いろいろな料理・分野・形態の店がバーガーを扱いだせば、それはその数だけハンバーガーが進化・変容する可能性に繋がる。そんな中からきっとそのうち"傑作"を造り出す店が現われることだろう。大いに期待したい。しかし私は基本姿勢として雨後の筍組には必要以上の興味を示さず対処したいと思っている。機に乗じて始めることは容易い――であればこそ、こうなる以前から流行り廃れに関係なくハンバーガーを作り続けてきた店――こちらに私は数十倍の興味を覚えるのである。マックがまだ幅を利かせていた頃、どんな思いでハンバーガーを作っていたのか、その頃の客層はどんな人が多かったのか、そもそもマック専売下にあって、どんな思いと公算で店を始めたのか……など、ぜひ話を聴いてみたい。先に述べたとおり、私は雨後の筍を評価しないとか全く関心がないとか、そういうことでは一切ないのだが、「どちら」と訊かれれば雨の降る前の店々を訪ねることに、より深い意味合いを覚えるだろう――ということなのである。……アレ?“before the rain”ってセリフを繰り返す映画、何だっけ?確かエライ俳優さんがシワガレ声で言ってたような気がしたのだが思い出せない……。誰か分かる人居ます?

(2005.12.4)