ハンバーガーストリート

vol.14

― 外食編 ―

'06.10.16 神戸屋レストラン updated

Royal Host

# 41

 当企画は、毎度決まった店で食べ慣れてしまったお手軽・安易な食べ物=ハンバーガーを、もっと視野を広げ身近に目を向けて、街のそこかしこに探してみよう―というのがそもそものコンセプトである。ファミリーレストランは身近を見つめ直す意味においてコンセプトによく合っており、当初の期待も大きかったワケなのだが、ところがこれがまったくの空振り…………ハンバーガーを扱う大手チェーンは皆無だったのである。それがココに来て耳寄りな情報―Yo氏の黙示により、さっそく家から一番近いロイホへと向かってみた。実は表参道のアペティート(APETITO)という系列ベーカリーの味に魅了されて以来のロイヤルのファンである。そのアペティートも今はすっかり昔の味を失い、興味の対象でなくなってしまっているのだが、そんな中、久々のロイホ。BGMはフュージョン系やラウンジ系など。涼しげで悪くない。各卓に呼出しのボタンはないのだけれど、時折ポーン…………と鍵盤打楽器のイキオイのよい音が響く。もともとが空港や機内食のサービスを出発点としているグループ。ファミレス業態にもどこかターミナル的ゴージャスさの片鱗が窺えるように思われ…………気のせい?

 スープ&カジュアル料理のメニューのひとつ。「お好きなスープと料理の組合せでお得な\1,250」。ビーフ100%ハンバーガーは単品\880、相方に選んだブロッコリーのクリームスープ\450。なのでそんなにお得?スープ・料理とも全4種。企画モノ感が強いのでスープの季節の終わりとともにメニュー終了の日が訪れるだろう―と見る。以前紹介のシズラーもロイヤルグループ。なのでシズラーとよく似た感じかなぁ…………と予想を立て臨む。出て来たバーガーはシズラーより平面的。白いバンズに白ゴマ。裏はバター色。そして…………カリッカリの焼き加減はシズラー作戦をそのまま取り入れている…………いつ食べてもどこを食べてもカリッカリ!パティの上にピクルス2枚。トマトも2枚。そしてオニオンにレタス。運ばれてきた当初からピクルスの紅生姜のような、私にとっては一種警戒心を抱かせる鋭いニオイが漂い続けている。撮影中もそして食べている間もずっと鼻を突く。ビーフ100とは断ってあるもののパティのパサ付き感は予想以上。そこに紅生姜テイストの水気の少ないピクルスと、同じく水気の飛んだオニオンとレタスがくるので、全体にパッサリ(not"サッパリ")したバーガーになっている。唯一水分をもたらすことが期待されるトマトも弱々しく、全体の潤滑油としては量が足りない。ココに適宜サウザンアイランドクリームを塗って食べるのはシズラーと一緒。しかしこのクリーム、随分とおとなしい味でピクルスとオニオンのキツイ味の間に混ざっては主張の場もない。結局手元に調味料はクリームのみ(あと食卓塩もあるか)、ケチャップ&マスタードの登場はなかった。つまりこのクリームの味で勝負!と言っているようなもの。しかし試みの割りには味が弱過ぎる。

 で\880。当企画としては同価格でもっと食べ甲斐のあるバーガーを紹介できる―のだが、問題はソコではない。ファミレスのメニューとしてどうか―そっちが重要。メニューとしてアリやナシや…………まぁ定着はしないだろうネ、贔屓目に見ても。よく考えたらコノ値段で付け合せナシだし。払った\880分の価値をしっかり実感できるような内容でないと顧客満足は得られないだろうから、つまり「普段食べてるバーガーはマックの\84だけど、\880だと…………ふ〜ん、こんなバーガーもあるんだ〜」くらいな感想はせめて持って帰ってもらわねばならないワケで。ソレを思えば今のままでは残念ながらプラスの感想には傾かないように思う。むしろ奇手を狙って自慢のカレーソースと絡めるとかした方が良かったのかも。でもそこをストレートに真っ向勝負する辺りがロイヤルの伝統なのだろう。冒頭書いたようにすごくちゃんとした感じのするレストランなので、まぁ正統勝負のハンバーガーで正解なのかも知れない。

2005.3.6 Y.M

Dexee cafe & dining

[南町田]
# 47

 外食編、ロイホ1回きりでオシマイかなぁ〜と思ってたら、お仲間登場!東急田園都市線南町田―なんか出来たなぁ〜とは前々から思っていたんだが、ある日店の前を通ったとき、看板に"Hamburger"と大書してあることにハと気付き、即刻乗り込んでみた。店の前は土日混みっ混みに混みまくる国道16号。すぐ先が国道246号との交差点、さらにもう500mも行くと東名横浜町田インターだから、まあ混まぬ理由はないワナな立地。ホントの意味での「店の前」には広々とした駐車スペース。中に入るとまずは高〜い天井、そしてその天井まで届く巨大な書架に目を奪われる。床から柱から明るい木目と白い家具でまとめた清潔感溢れるモダンなアメリカンダイナー(つくづく使い勝手のイイ言葉ダナ…………)。サイトでは「新感覚ファミリーレストラン!!」というあまりいただけないキャッチで紹介されているのだが、その言葉に従って"ファミレス臭"を探すなら、まずメニューが洋・和・米・伊、各種とりとめなく揃えてあること。あとメニューのデザイン・レイアウトかな。ドリンクバーはありません。和食は膳モノ―味噌カツ、鶏竜田、カジキマグロの照り焼き、イクラ丼など。"カフェメニュー"と言うよりは確かにファミレス寄り?微妙な「間」を狙っている模様。BGMはあまりにイマドキ過ぎるブラック/ソウル。そしてコノ店最大のポイントは愛犬とともにお食事できる室内テラス(もちろん屋外もOK)なのだが、しかもおおいに賑わってはいるようなのだが、しかし個人的には…………

 ハンバーグ180gにチェダーチーズをのせたDexeeホームメイドハンバーガー\1,180をアイスカフェラテで。ココのバーガーはひと言、パティの好みで感想が分かれる。厚みがあって見るからに形の良いパティは、多分メニューのハンバーグと同じものを使っていると思われる、つなぎをふんだんに使用した柔らかくマイルドで、クサミもゴロゴロガサガサした抵抗もほとんどないモノ。豆腐ハンバーグと言われてもそうかなと思ってしまうくらい穏やか・まろやかなパティ。ココ最近、いかにもビーフ100なガサ感・イガ感は適度にあった方が良い―という考えの私なので、そうネェここまでくるとちょっと牙抜き過ぎちゃったかなって感じ?バーガー全体としてもこのパティの占めるところが大きく、弱い塩味でまとまった平和で穏やかなバーガーである。バンズ(crown)の下は細長くスライスしたオニオンにマヨネーズソースがかかり、トマト、チェダーときてパティ。その下に数層に畳まれた歯応えの良いレタス。これにもマヨソースが。適度なツヤのあるcrown は表面に白ゴマ。heel は厚みがあってこれまた立派―というかちょっとカッコイイぞ!付け合せはフレンチフライ(とクレソン)。あとHEINZの小袋のケチャップ。

 http://www.dexee.jp/のサイトに行くと2つとびらがある。ひとつがこのDexee cafe & dining でもうひとつがDexeeDiner という渋谷・松涛・恵比寿に店を構える純カフェ(←いい加減こんな言葉が出て来てもおかしくない)。できたのはDexeeDiner の方がずっと前(cafe & dining はsince 2003)。ともに“〜wanna read and dine?〜”というキャッチも一緒、写真見る限りコンセプトもインテリアも同じ。どこからどう見ても関連性のある店なのだが、Dexee cafe & dining は牛角・温野菜・鳥でん・土間土間で知られるかのレインズインターナショナルの経営(なのでちょうど16号挟んだ向かいに牛角がある)、DexeeDiner の方はレストランカーディナスグループという、これまたその方面(?)ではよく知られた会社が経営―と、よくわからぬが経営を分け合っているのである―正直ちょっと不思議。同じ題材を2人の監督がそれぞれの視点から撮り収めたオムニバス映画のような趣きである。いまはまだ南町田に1店舗のみの店だが新感覚ファミリーレストラン!として、東京近郊にもう少し増えてゆくであろう―ということでこの外食編に加えた次第。

※'05年5月22日、ちょっと目を離した隙に閉店しておりました。誠に残念…………(2005.8.16)

2005.3.30 Y.M

ガスト

# 83

 Royal Host のメニューからハンバーガーが消えてより久しく、期待の新感覚ファミレス Dexee cafe&dining は突然の閉店―そんな中、存亡危ぶまれるこの「外食」編に新たな救世主の登場…………待ってました!「こんな身近にもバーガーが…………」という設定こそ長く望んでいたものなので、とりあえずはガスト、歓迎である。

 今さら紹介するまでもない「もっと気軽に、もっと身近に、あなたの街にあなたのガスト」。全国47都道府県すべてに店舗を展開し、2003年11月には直営のテーブルレストランで世界初となる1000店舗を超えるチェーンとなりました―ということで現在全国に1,028店。元々はすかいらーく。すかいらーくの1号店は'70年7月国立(くにたち)―やはり70年代前半のこの時期は、外食産業の創業・開業ラッシュのようで。その後ジョナサン、藍屋、バーミヤンなども含むすかいらーくグループ1000店を達成をしたのが'92年6月。で、翌年の'93年9月、沿革には「ガスト転換スタート」とある―文字通り「すかいらーくをガストに変えてゆく」という意味なのだろう。かくしてガスト1,028店に対し、すかいらーくは今や僅かに158店のみという圧倒的大差が付くに至るのである。この数字が意味するところ―それはつまり、街でガストに出会う約10分の1の確率でしかすかいらーくに遭遇できない―ということである。そんなに稀少だったのか>すかいらーく…………

 まぁ私、所詮素人で御座いますんで、こんな話はコノ辺で仕舞っておきまして、さて本題の方へと…………

 ガストバーガー\504。付け合せはフレンチフライにパセリ←洋食的。表面白ゴマのバンズはきわめてマックなルックス。濃い目の甘味が効いており、ややスポンジ質。中身はえらく粘る黄色いチー、すぐパティ、タルタルソース、レタ、オニスラ、下バンズ。パティは案外な線で健闘しており、噛みしめるとナツメグとペッパーの味がグッと効いてくる。タルタルのちょっとひしゃげたような味は好みでないが、それを差し引いても案外に案外な一品であった。バーガー500円上限説に則り、税込み504円でこのようなバーガーをメニューに載せてきた…………と言うか、ポテト付きで504円―サラダの残りやらハンバーグやらを掻き集めれば、つまりは"出来る"ということである―ハンバーガーが。そいつを現にやってのけたという点で、ここはやはり素直に歓迎すべきでありましょう―ガストバーガー。あぁ…………但し!BGM―鳴ってるんだか無音なんだか殆ど聴き分けのつかない状態が長らく続いて、正直不快だった。

2005.8.16 Y.M

イート・ラン

[十条]
# 86

 2005年8月24日、全国で(←正確にはウソ)イタリアンレストランをチェーン展開している株式会社サイゼリヤ(本社:埼玉県吉川市)は、新業態であるファストフードに参入。その第1号店を東京都北区十条にオープン―

 ナゼ十条?商店街の盛んな所とは聞いていたが(未踏之地)、北口出てすぐ、十条銀座なるアーケード街に真新しいお店を発見。構えや造りは既存のファストフード店と変わりなく、上にアーケードの架かる利点を活かして入口全開。左右壁&窓面にカウンター席が十数席ほどあって、突き当たりにレジ。その奥がキッチン。さらにキッチンの奥には第一パンの緑色のパン箱が積み重ねられている。雰囲気よりも明るさとくつろぎやすさを求めた店内。椅子も一応ソフトな合皮張りで、ちょっぴりコンフォータブル。BGM―ジャズヴォーカルなのだが、どこかサイゼリヤのカンツォーネを連想させる滔々とした調べ。

 「サイゼリヤ農場は福島県白河市郊外に位置し、100万坪の敷地内で、店舗で使用するレタス等の栽培を行い、また、自ら土壌の研究や種や苗の開発にも取り組んでいます。そして、同農場で採れた新鮮な野菜を新鮮なままで運ぶために、「コールドチェーンシステム」を取り入れ、畑からお店のテーブルにのるまで、その鮮度と品質を保つことを実現しました 」いやーそんな真摯な取り組みの店とは知らなかったよ。失礼しました!サイゼリヤと言えば、かつて店員から極めて不快な思いをさせられたことがあり、それ以来滅多に足の向かなくなった店である―たとえどんなに安くとも。う〜ん、真摯な取り組みも接客ひとつでパーというワケですナ。おい>アン時の店員!謝れよ!自分の会社によ!

 「ハンバーガー・タコスに合う野菜を、種の開発、農場の開墾から。ハンバーガーにぴったり、と思えるようになるのに丸5年」「安心できる牛肉を求めてオーストラリアに。自分たちの工場を設立し、パテができるまで丸3年」―この辺の言い回しには仙太郎に通じるものを感じる。野菜の件については真にその通り。採りたて野菜バーガー\200は表面白ゴマ、甘味のある第一パン製バンズに中身は薄いマス、サウザンドレ、新鮮レタ、トマ、薄いパティ、下バンズ―が立派過ぎるバーガーパックに包(くる)まって出て来る。サイゼリヤ5号という品種を独自開発し、肥料も専用の指定肥料サイゼリヤヘルシーレタスを使っているというレタスは、去年不作で泣いた人々が見れば、もぉ〜羨望のヨダレが止め処無く滝の如く…………というくらい贅沢に、ふんだんに挟み込んである―コノ値段にして。酸味の心地好いトマトとひとつになれば向かうところ敵なし!野菜の美味しさは折り紙つき!一方でパティは挽肉と言うより安い肩ロースでもしがんでる感じで、バーガーと称しながらこのバーガーの力点は、どうも牛肉には置かれていない。あとはサイゼリヤドレッシング(サウザン風特製ドレ)。コレ一発の味で味付けが決まってしまっているところがあり、その点は残念(ロッテリアプラスみたい)。さらにイート・ランチーズバーガー\150を。こちらは普通の包み紙。バンズの間にマス、ケチャ、刻みオニ(いや、ピクルスも刻まれていたかも)、チー1号、パティ、チー2号、下バンズ。チーズがパティの上下に2枚、45度にズラして挟まっている。標準装備でダブルとは、なかなかに心得ている。ケチャのだるい甘味と、妙に粘ってはっきりしないチーズの食感が特徴。ややモッチャリ。

 設立昭和48年5月、例によって70年代前半の開業で最近まで何してたんだろ?って印象だが、'04年8月現在717店。「まずは、地域の皆様に親しまれ、繰り返しご来店頂く店舗を目標としております。今回の出店は、本格的チェーン展開に向けての未だ実験的な位置づけにあり、商品内容や店舗運営につきましては、お客様の反応に応じて今後改善してまいります」とのことなので、ま、ひとつ長い目で見てゆきましょう。

 してコノお店、やはりロッテリアプラスと同様な感想を持った。素材は優れている。雰囲気も良い。なのにバーガーは1個200円までに収まる。私の思ったことはこうである―素材を活かしてもっと美味しいバーガーを食べられるチャンスがある。しかし「いくらまで価格を下げられるか」というベクトルだけで商品開発の判断をしていたのでは、折角のチャンスと"需要"の芽も活かされずに終わるだろう。なので「いくらまでなら払うか」という方向に発想を変える必要がある。変なコストの削り方は結局安い評価にしか転ばないと思う。内容が伴っていれば私はむしろもう少し高いバーガーに手を出したい。しかも基本のバーガーはMなど軽く一蹴する内容である。ならば少し高いバーガーだって味は確かな筈…………ちょっとだけ経済学入ってマス?そうね…………要はもう少しお金出すから、もう少しちゃんとしたの作ってくれる?って感じかな。ちなみに店名はウサギが人参くわえて畑の中を走る姿をイメージしてとのこと。ピーターラビットの世界ですな。

2005.8.29 Y.M

FOOD COLOSSEUM

[南町田]
# 138

 夏だ!休みだ!お出かけだー!というわけで夏の行楽シリーズ第1弾。今日はお買い物&映画を観に南町田はグランベリーモールへ〜♪

 グランベリーモールは東京都内で初となる本格的アウトレットショップ群を併設したオープンモール形式の巨大ショッピングセンターで(引用させていただきました)、今年で6周年。南町田自体元々何も無い土地だったこともあり、周辺住民のお節介というやつで「果たしてやっていけるのか」と、当初はその存続を危ぶんだりもしたもんだが、そんな心配どこ吹く風の盛況ぶり。ハワイ辺りのショッピングモールを模したという街並みが人気で、今や週末は急行が停まるまでの扱いになってベリー便利!(←引用ネ)客層は子連れか犬連れが基本で、まして独りでなぞ買い物しに来た日には相当肩身の狭い思いをさせられる。もしグランベリーモールという名の豪華客船がいま沈没しかけんとしていたなら、救命ボートには犬と子どもがまず乗せられて、独り者は沈み行く船と運命を共にせねばならぬだろう…………というくらい、なにしろ犬に高いアドバンテージが与えられている。犬が前方を塞いでいたなら人間である私が避けねばならない。とにかくお犬様優先の不文律が市中に徹底されている―元禄時代か。

 その点を除けば悪い場所ではない。OUTBACKの日本1号店もあれば、隣にカルフールもある。そして何より丹沢山系に沈む夕陽が絶景!そこに来てこの春、ついに待望のシネコンができた。これで無いものは無いゾ!というくらい充実したショッピングモールにレベルアップしたワケだ。その109シネマズ(イチマルキュウシネマズ)の階下にオープンしたのがココ。映画の半券持参で10%オフ。シネコン風の変わった入り口を入ると、バーコード付のカードを渡される。注文は全てこのバーコードによって記録され、会計は帰る際に出口で一括精算されるという、素晴らしくシステマティックな方式を導入。システムもさることながら、中がスゴイ。通常のフードコートとは逆の造りで、中央に3つのキッチンが独立して在り、それらを取り巻くようにすり鉢状に客席が配され、まさにコロシアムを思わせる空間。キッチンブース上のクロームメッキのデザインがメチャメチャかっこイイ(ビッグサイトの展示会に来た気分)。3つのブースはさらにイタリアン、エスニック、和食、サラダバーなどにコーナーが分かれ、目当ての料理求めて島の周りを回る設計。ピザ焼きの窯もあれば、蕎麦打ちの台もあったりで、提供される料理も半端無い様子。何しろイチに企画力、次にデザイン力の賜物のような空間。窓側はシアンのよく効いた梅雨どきの外光が気持ち良さそうだし、中に目を向ければ、最も奥深いところが二段上がって歌劇場のボックスシートの様になっていて、ラグジュアリーなひとときを堪能できそうだ。こんなデザイン一体誰が考えたんだろ…………と感心していたら、かのグローバルダイニングだった。なるほど…………。沖縄に1店舗、南町田が2店目。

 チーズバーガー\720。ポテトセット+\150、ポテトドリンクセット+\300。沖縄店の方がバーガーの種類は多い模様。注文を終えると無線式の呼出しブザーが渡される―この辺もシステム。次に席探しだが、広いのでどこに座って良いやら目移り…………ところが良さそうな席は悉く、席取りよろしく食器が置かれていて…………いや、どうもホールの人数が決定的に不足しているようなのだ。食事を持って来るまではセルフサービスだが、食後は食器をそのままにして帰れば良い仕組みなため、そこら中食器が放置された席だらけになってしまっている。座りたい席は一つも空いていない。なので、座る席をまず決めた上で「ここに座りたいんですけど…………」とスタッフに言って机の上を片付けてもらうという、人数が追い着かない状況をこのようにして打開せねばならない。客席すらそんな感じなので、ホール各所に設置された食器下げ用のステーション周りはもっとスゴイことになっていて、周囲の床まで汚れている。きっとスタッフからも不満の声が上がってるんじゃないかなぁ。だって片付けても片付けても間に合わない状態なんだから―賽の河原。
 さらにどこに座っても微妙に柱や物の影になったり、食器だらけのステーションが傍にあったりで、全景をきれいに視界に収められる位置がない。例のボックス席も座ってしまうと眺めはさほどでなく、結局店内を最も視覚的に楽しめるのは立って歩き回っているとき―という結末。しかも意外と落ち着く席がないのよネ…………まぁそもそもがフードコートなワケなので、多くを期待してはいけないのだが、でもコノ造りがソレをさせてしまうワケで…………。ココ良いかな?と座ってみると、頭上でBGMガンガン鳴ってたり。大き目に鳴らして臨場感を出す演出だろうが、にしても…………と真っ黒い天井を見上げてみれば、エレボ(EV)のたいそう立派なスピーカーが付けられていた。

 落ち着かぬまま一角を占め、ブザーの鳴るを待つ。チーズバーガー\720。木製のサラダボールを樹脂で模した容器に入り。白い皮と身のバンズ。ツノが小さく付いていて、裏はしっかりコゲ目。何となく日持ちしそうなバンズだ。何の機能も果たしていない串が刺し通っている。中は細かく刻んだオニオンが加わったタルタルのようなソース。大きなトマ、リーフレタ、その下に白いチーズとマス&マヨソー。このソースにもオニ&リレが入っている。さらにソテーしたオニ、パティ、下バン。マヨソーが垂れ出し、見た目もう一つ。繊維質な食感のパティは悪くないが、マヨネーズの味が勝ち過ぎているのと、オニオンの味がやや生々しいのなどあって、バランスもいま一つ。これだけマヨな見た目&味だと、肉食べてると言うより魚食べてる気分にさせられるんだよね。食後の余韻もマヨネーズ、総じてオニオンな印象

 う〜ん、空間としてこういう場所大好きなのだけど…………処理するだけのシステムが整っていないのが現状。ジャ○コやヨー○ドーでなら許されることが、これだけビシッと決まった空間だと見苦しく映ってしまうという逆効果が働いている。いいですよ、そんなんだったら食器下げるくらい吝かじゃありませんから…………と協力したいところだが、そもそもフードコートって下げるトコまでセルフが一般的ではなかった?そこを妙に「お客様の手を煩わすまい」との配慮を利かせたが為に、かえって混乱を招いてしまっているような気も致しますが…………

2006.7.18 Y.M

神戸屋レストラン

# 154

 「パンとパンに合う料理を提供する店」と言えば、アンデルセンもさることながら、この神戸屋レストランを忘れることはできない。サイト中の「レストランへの道のり」というページに、パン食普及に向けたこれまでの取組みが記されている。1970年、万博への「空中ビュッフェ」出店を経て'75年「パン料理の本当のおいしさ、楽しさを味わっていただくため」、西宮に郊外型のベーカリーレストランをオープンさせた。'75年といえば日本の外食産業の黎明期…………とまるで見てきたようなことを書くけれど、しかし私にはこの頃まだ確たる記憶はない。'70年7月すかいらーく1号店(東京国立)、'71年12月ロイヤルホスト(北九州黒崎)、'73年6月アンナミラーズ(東京青山)、'74年4月デニーズ(横浜上大岡)―と、主だつレストランの出店は70年代前半に集中している。デパート最上階の「お好み食堂」が近所にやって来た―というのが、ファミレスに対する当時の感覚だったそうなのだが(立川BRIDGESマスター談)、私がよく覚えているのは、「家族で外食する」ということ自体が当時はひとつの贅沢だったということである。ファミレスすらキラキラと輝いて見えた―と言えば、共感していただける同世代のビュアーもきっと多数いらっしゃることだろう。

 とにかくある時期までのファミレスは、店舗もサービスの内容もエラクしっかりとしていた。この神戸屋レストランも、本場米国の様式を取り入れたかの様な大きな造りで、関東1号店である成城店('85年オープン)も、オレンジ色の瓦屋根に高い天井、大きくとった窓ガラスの外には緑が配され、ケヤキの巨木が周囲を囲んで、ゆとりと落ち着きを感じさせる。当時のキラキラとした輝きを今日なお持つ店である。但し成城学園前と京王線の仙川駅とを結ぶ、古くて細いバス通りギリギリに敷地が張り出す恰好ではあるのだが。入ると手前にパンとケーキの売り場。黒い目地が鮮やかなお馴染みの白いタイル壁がドーンと視界に飛び込み、独特の甘いパン生地の匂いが押し寄せる。奥がレストラン。オープンキッチンには無数のコック帽が忙しく揺れている。祝日のこの日、店内は午後2時を過ぎてなお家族連れで満員。さすがに場所柄がよろしくてか、どの席の子供も概ねよい子にしていた―ヨシヨシ。

 「ご家族でもより豊かなパン料理をお楽しみいただけるよう、時代や季節の変化にそった新しいメニューを開発し、ご提案しています」ということで、この9月より新たに加わったのがフレッシュビーフ100%のグルメハンバーガー\1,260。チラとお聞きした話によれば、自分んトコで焼いたパンと定評あるハンバーグステーキを使い、ハンバーガー風に仕立ててみた―という程度の、割りと気軽な発想のもと生まれたメニューらしく、その気負いの無さと言うか、「皿の上のモノ全部積んじゃえ!」的な単純な動機が如何にもハンバーガーらしくて、かえって好きである。ちなみにバーガーに代わりレギュラー落ちしたのがカツサンドと言うから、カツサンド派からはさぞや恨みを買っていることだろう。付け合せはフレンチフライ少々にクレソンひと挿し。

 食パン神戸屋スペシャルの生地で作った大きめなバンズはふか系。ツヤのあるしっとり目の皮で、身は黄色く弾力があり甘目。裏にちょろとバター、アボカド×2の上からマヨソー、チェダーチーの上から弱い酸味を帯びた特製ソー、パティ、ベー、レタ、トマ、下バン。かなり大きなバンズながら、具材満載のためバランスとしてはむしろ足りないくらい。中でもパティが非常に大きい。神戸屋自慢のこのハンバーグ、ノド越しよろしく柔らかく、2度挽きだけあり確かに食感良好。時おりキッチンから恐ろしく高速なパタパタ叩く音が聞こえてくる。しかし味としてはベーコンの方が勝っていて、どうしても注意はそちらに向いてしまう。とは言えこのベーコンも程好く抑えた塩加減の、旨味を感じられる逸品なのだが。フレッシュなレタスの美味しさも気持ち良く、個々にはどれも美味しく感じられるのだけれど、どうもハンバーガーとしての総合的な美味しさという点は、見た目ほどには追求されていないようだ。バンズのサイズはそのままに、もう少し中身を少なくした方がバランスは釣り合うだろう。今の比率だと食べる途中でバンズだけ先に無くなって、あとは肉と野菜―という感じに近い。水分量が多いバーガーでもあるため(ソースも豪快に掛けてあるし)、下バンも具材の重量を全く支え切れていない。それに折角の神戸屋自慢のパンの味や香りが、このバランスではむしろ相殺されてしまっており、「パンとパンに合う料理を…………」という真価が今ひとつ発揮されていない。その点惜しまれるものの、しかし見た目どおりの非常に豪勢な一品なので満腹感は相当。パック(袋)は供されず。しかし皿から持ち上がらない類のバーガーである。こんなときナイフ×フォークを使うと、折角のふっかりバンズをやおら潰してしまうことになるので、非常によろしくない。何か良い"手"はないものか…………

 神戸屋スペシャルの生地はイーストフード・乳化剤無添加と言うから、あの茨木くみ子先生もびっくり!それでいて、どうしてあんなにふっくらと焼き上がるのか…………実に不思議で興味深い。パンをカゴに山盛り抱えたスタッフが店内を回っているのが気になる方は、手づくりパン¥210を頼めばお代わり自由!コノ店の醍醐味はやっぱりコレ!関東・関西に20店舗、BGMは真に正統なるインストゥルメンタル。

2006.10.16 Y.M