ハンバーガーストリート

vol.15

―― 横浜編 ――

……どこまで増えるんだ――という感じで「横浜編」。
横浜駅〜MM〜元町ラインの内外で
そこそこまとまった数のバーガー処がありそうな様子なので、
地方編」とは別に1ページ立てた。

'08.8.22 Bigmamacafe updated

STOVE'S

[横浜]
# 45

 帷子川のほとり、相鉄ジョイナスの駐車場に入る豪快な連絡橋――コイツは我が幼少のみぎりからある――の真下の角地を利用した三角形なお店。きわめてアメリカン、床も柱も年季の入ったウッディ。カウンターの背なし・革張りの鞍馬のような……てか、西部劇でカウボーイが酒場の入口で馬の手綱を結わえる木があるでしょ?あんなカッコした椅子――なんてぜひ一度座ってみたい。ただし……外はビルの外観そんまんま赤レンガタイルにサッシの窓――きっと当初は外見のダサさに頭を悩ませたことだろう。'94年オープン。だから早十一年目。本来夜行くべきお店なんだが夜はいつも大人気なのと、きっと暗くて撮影できないだろうという読みから、昼間に。本日日中のBGMはレゲエ。ライヴもやる。

 チーズバーガー\850。昼時(12:00〜15:00)ならプラス\100でドリンク・ポテト類・クッキー・サラダから3点選べるセットに出来てとってもお得。どんなワイルドな見た目で登場かと思いきや、白い紙敷いた木のトレイに小鉢など乗せて、いまどきカフェ風。crown にピクルスとオリーブが刺さっている。バンズは胚芽入りか全粒粉か、フカッと空気多めで、かつモッサ系。コレ、冷たかったら美味しくないだろうな……という"イヤな見た目"を一瞬感じるが、でも大丈夫!しっかり温かかった。ちょと塩味。バンズの下に粘〜るチーズ、そしてパティ。その下に軽く火を通した半透明なオニオンがちょびっとだけ。甘い。その下にトマトとレタス。レタスにはマヨネーズ。パティは一見真っ黒コゲに見えたものだからガチガチかと心配するも、無難にいわゆるハンバーグな味と肉感。そして塩味。このバーガーは久々にマヨネーズベース塩味。付いてきた調味料もHEINZ のマスタードのみで、ケチャップはなし。全体に塩味とモッサリねばった食感でまとまっているバーガー。マッシュポテトも他にないくらいキメ細やかで粘りが強く、同様な塩味マヨネーズオンリー塩味という味付け&方向付けは、普段あまり食べ慣れないと思うので(ビックマックくらいでしょ?)、あるいはややクセを覚えるバーガーかも。

 さてSTOVE'Sには横浜駅周辺を中心に5つの姉妹店がある。全店にバーガーメニューがあるかどうか……は定かでないが、しかしもしバーガー置いてるとすればきっと同じ材料を同じように使っているに違いない……が、しかし5店すべてを巡って確かめるのもさすがに……というワケでSTOVE'Sから最も近い1店に行ってみることにしたのが以下↓

2005.3.27 Y.M

THUMBS UP

[横浜]

(近日アップ予定)


TROUBADOUR

[たまプラーザ]
# 49

 神奈川県および首都圏以外にお住まいのみなさんのために一応注釈――以下に紹介する店のある東京急行田園都市線たまプラーザ駅は、横浜は横浜でも港も見えなければ海もない、市の最北西に位置するベッドタウンである。横浜市はとにかく広いのだ。
 たまプラーザと言えば『金妻』(未見)の舞台となった高級……あぁそんな説明つまんないやネ……まあそんな東急謹製住宅街の只中に忽然と現われるならず者の館。店の上空をそれこそ鷲が旋回していてもおかしくない、実際筋金は入ってないけど筋金入りの木造二階建一軒家。そう、まさに"一軒家"という言葉がふさわしい。こういう店が田舎の国道沿いにあったところで別段どうとも思わないのだけれど、閑静な住宅街の中に構えている辺りが意外性。ところが地価があまりに高額なるゆえか、この駅の南口は整地済みの空き地・土日だけ賑う駐車場・同モデルハウスと、生活臭のきわめて薄いものばかりが空間を占めている。人は住んでいるのにひと気は少ない――駐車場とモデルハウスの間を抜けるメインストリートを歩く刹那は、確かにある種荒涼・殺伐とした想いに駆られるかも知れない……ウ"〜ン、淋しい……でもごらん、この先に灯りが……

 今までアメリカンダイナーだのアーリーアメリカンだのとテキトーな言葉で数多の店の説明を誤魔化してきたが、コノ店ばかりはそんな形容では様子を正しく伝えることができない。コノ店がイメージするのは70年代ウェストコーストロックの世界――カウボーイハットにジーンズ、ブーツ。首にバンダナ、肩からガンベルト。馬にまたがり、幌馬車を駆る――そんなスピリットをまんま店構えにしてしまった、そんな店なのである。テラスとカウンターのある1Fもカッコイイが、圧巻は2F――天井のファンが物憂げに回る暗がりは、禁煙なのに漂う空気が妙にスモーキー、隣の席すら霧がかって見える。赤いクロスのかかった丸テーブルの周りには荒くれ者どもがふてぶてしく足を組み、よそ者の一挙手一投足をじっと見つめている……そんな光景が目に浮かんでくる、刺激的空間。不勉強で申し訳ないのだが、店名"トルバドール"(中世の「吟遊詩人」の意とか)は西海岸で有名なクラブの名に因っているらしい――LAのミュージック・クラブ。ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、ザ・バーズなど、ここの出演者で後に有名になったアーティストは多い。イーグルス、ドゥービー、CSN&Yはじめウェストコーストロックの王道からカントリー、ブルース、ハワイアンミュージック……結局はジャンル不問で、とにかく心地好いアメリカンミュージック心地好い大音量で流れる。出て来る料理はもちろんタコスにナチョス、バッファローウィング、ジャンバラヤ、ミートローフ……

 バーガー7種。本日のご注文チーズバーガー\1,100。柔らかいバンズは表面白ゴマいっぱい。中はレタス、トマト×2、オニオン、ピクルス×2、チーズ、そして香ばしいパティ。ココのパティもミンチと言うよりやや粗目の感がある。しっかりした噛み応え、そしてクドからずジワーッと微かに溢れ出す旨味。かなりはっきりとした塩味が付いていて(しかし甘味と旨味を併せ持つ。岩塩か何かだろうか)、この味と濃厚なチェダーチーズの味とで全体を引っ張ってゆけてしまうだけのパワーを持っている。これくらい塩が効いているとオニオンの辛さやピクルスのスースーした酸味がむしろ活きてくる。強い味同士のバランスとして絶妙。まったく他の調味料を欲しない。大味過ぎないアチラ風味としてお気に入りの逸品。付け合せはフレンチフライ。お供は例によってラムベースのキューバリバー(リブレ)。

 同じ田園都市線の市ヶ尾に姉妹店Bubble Overがある。が、いかんせん駅から随分離れた、しかもニュータウンからも適度に外れた辺りにあるらしく、足を運んだことはない。'86年オープン。トルバドールは'91年から。でさらに両店には母体となるMOTHER LUCYなる会社があって、他にSURGEという、やはりCALIFORNIA COAST STYLEの洋服・雑貨・サーフィン用品などを扱う店を持つと。でたまに実は有名なアチラのアーティストが両店に演奏しに来たりする。ステージと客席の距離がブルーノート級に近い(しかも高低差なし。そして安い!!)狭い空間でのプレイなので、こりゃオイシーぞ!

2005.4.13 Y.M

JACK CAFE

[日本大通り]
# 78

 横浜市中区海岸通1−1。大さん橋の入口、開港広場前。真っ直ぐ走る海岸通りがちょっとだけクイッと折れ曲がるココのカーブは、異国的な港町の情緒をとりわけ強く漂わす一角。その異国情緒の発散元たる古いビルヂングの並び――当"隧"道を始めて以来、ずっとコノ並びにバーガーの気配を感じ続けていたのだが、よりによって横浜国際花火大会の当夜、つい近寄り過ぎてそのまま中に吸い込まれてしまった。外は今さらながらにベストポジションを確保しようと躍起の見物客の右往左往、車道は歩行者天国になり、ドンパン打ち上がる花火の轟音をすぐ目と鼻の先に聞きながら、花火客諸氏よりずいぶんお先にお店入り、我独り貸し切り状態にての快感、この上なし。神奈川県警交通課の大さん橋入場規制の案内、喧しく。

 今宵はたださえ暑い上、ココは海際、蒸し蒸しと湿気一層高く暑さ更なる中、入るとナチュラルタッチなジャズヴォーカルが響き渡る涼しげな店内、内装は例によっての60'sアメリカン×2!――しかし多少ワザとらしかろうともココはみなと横浜、コノ街なら全て許せてしまう空気……。高い天井から強目のスポット光、床の白黒模様は壁まで及び、軽い平面的錯覚を呼び起こす。クーラーボックスまで白黒!お約束のピンボールに、黄色いバイクは何処社製か、青い塗装のペプシの自販機上に西洋人形と見えしは……ん?アミダラ?!昭和8年建築のジャパンエクスプレスビルディング1F、中央階段を挟んだ両翼に、それぞれ"EAST""WEST"と称してこのカフェバーが入ったのは8年ほど前とか。2Fはビリヤード……う〜ん、波止場のちょっとキザワルな気分に満ちている。

 ハンバーガー・レギュラー(ビーフ100% 200g)\1,470。ココはバンズが命!オーブンで焼き上げた大〜きな大〜きなパンの一部を切り出して使っている。何分の一だろ?八分の一くらい?なので正円でも楕円でもなく、弧を描くのは一辺だけ、残り二辺は見てのとおりの直線。置きざらしにしたパンの姿がまた美味しそう。ザラッとした表面にはゴマもケシもなし、ややフォカッチャ寄りの素朴でホクホクした味わい。裏面バターと合わさったお味が何とも美味!中身はピク2、トマ2、辛い生オニ、サニレタ、パティ。ココでひとつ粗相……モツァレラチーズのトッピングをお願いしたのに入っておらず……まぁ良しとしますか。ピクルスを刻んだマヨソースが小鉢に。ケチャはHEINZ、マスタードはCrystalのスパイシーブラウン……コレ、ソーセージなんかに使うタイプで、正直バーガーには向かない。パティはマヨソースの味と融合すると白身魚を食べてるのでは……というくらいあっさり淡白、上下を挟むぶかぶかバンズの大きさと迫力に圧倒されて、200gという量の割りには目立ってこない。バーガーというよりはバンズを頬張っている感覚。この手作りパンなら生ハムなどを挟んだサンドウィッチを食べてみたい。付け合せはフレンチフライ。直に海こそ見えないものの、国際港の賑わしい"音"と空気を肌で感じられるロケーションが魅力。隣の隣がハマの名店スカンディヤ

2005.7.24 Y.M

FLASH BACK CAFE

[関内]
# 79

 昔一度だけ入ったことあったかなぁ。そんときはピニャコラーダを頼んだっけ――
中華街・玄武門の側。右手に中区役所、左手に横浜スタジアムを見る立地。店名が如く、70's&80'sミュージックの輝きを今日に燦然とフラッシュバックさせる店――時代の継承者たるステイタスないしは"貫禄"を帯びつつ……と、私の中では中学生時分からずっとそんな位置に置いて、しかも永らく傍目に見続けていた。但し実際、いつからある店なのか定かではない。

 店内とにかく貴重なゴールドディスクプラチナディスクの宝庫!ZEPからパープルからピンクフロイドの『狂気』からボズ・スキャッグス『シルク・ディグリーズ』からスプリングスティーンから、時代の生んだ名作・名盤の数々が壁や天井に所狭しと飾られている。しかもココのジュークボックスはホンモノ(写真後方のピンクに光ってるヤツ)!EPばかり160曲収録!だがココのインテリア、ただのポップなアメリカンではない。みなと横浜ゆえか、はたまたハードロックカフェをイメージしてか、ウッディな店内の端々に舶来のアンティークな意匠を見ることが出来る。あるいはココにはかつてそんな趣の店が入っていたのだろうか……などと、ついアレコレ想像してしまう。面白いのは店奥の戸棚……ギターをかたどったステンドグラスが!

 ハンバーガー\1,260。ロボット刑事のベレー帽(放送未見)のような形のバンズは表面ザラつき。ピクルス3枚と分厚いトマトが外付け。中身――味の弱いチーズ(モッツアレラか)、パティはハンバーグ、その下に細〜くスライスしたオニオン少々、サニーレタス、バンズ(heel)。パティはハンバーグだったが、でもアッツアツ〜!熱〜い肉汁がじゅわ〜っと滲み出す。ケチャップとマスタードをかけていただく。付け合せはフレンチフライ。

 BGM――いまどき&ナチュラルな女性ヴォーカルがしばらく流れ、次に「ガット・トゥー・ビー・リール」から始まるディスコメドレーへ。テレビモニターでは、最初J-POPのPVなど流していたのだが、"時間"になって横浜−阪神戦に。最近は(って、いつからだか知らんが)、テレビモニターとスクリーンでスポーツ中継も流すらしく、サイトにはその予定まで載っているから、そればかりか「○月○日、○○の試合の日の座席予約」を受付けてまでいたりするもんだから、う〜ん……時勢というものは恐ろしい。店名を異にするグループ店が市内に他に3店、そのうちの少なくとも1店にバーガー情報を察知したが、行くべき店もまだまだ多い状況下なので、また一巡した頃にでも。

2005.7.26 Y.M

AMERICAN HOUSE

[みなとみらい]
# 80

 78年元町で生れ愛され続けてきたアメリカンハウス――なんてあるんだけど、こんな店、元町にあったっけ……?

 とは言え父母に連れられてよく元町に行っていたアノ頃、我が興味の対象は幼子にふさわしくファミリアであり喜久家であり、当時まだ輸入食料品店でしか扱っていなかったミルキーウェイであったワケであり、目に入らない・留まらないのはある種当然、道理である。なので元町商店街のどこかに確かに在ったのだろう。その地元の生え抜きがクイーンズスクエアに店を出したワケである――すばらしい!大体、再開発などしてピッカピカの駅ビル・ショッピングセンターが建造され、7・8F辺りにレストラン街など出来たりすると、入る顔ぶれは毎度決まって新宿○○とか銀座○○天とかとんかつ○○とか、どの街行っても見た顔・知った顔――これぞセット販売の極み。そんな中、たとえ一店でも地元組の出店などあるのは、止め処ないマンネリズムの氾濫に一矢報いるかのようでちょっと気持ちよい。

 クイーンズスクエア横浜[アット!]セカンドに入る店。店の手前がフードコートになっているのだが――またはフードコートの"奥に在る"とも――コノ一角、庭先に設えた野鳥のエサ場みたいな印象。小鳥一匹やっと止まれるくらいの"辛うじての"エサ台の上に、遠方よりお越しの渡り鳥ご一行を集めては乗せ集めては乗せ、それで一時の休息を与えてる気に"なっている"……そんなイイカゲンな空気が感じられて、全く良い気がしない。と言うか、私は到底使う気になれない。なのでその奥に構えるコノ店にも同様な印象を持っていたワケなのである――店員がメニューを持って来るまでは
 白と赤の店。ギトギト真っ赤なソファ、白壁一面サインボードにナンバープレート、そしてネオンだらけ。きわめてゴチャゴチャ。フードコートの印象も重なって、さらにゴチャゴチャ……。しかしその印象は店員がメニューを持って来て後、一変……。雑然として落ち着かぬ中、不意を突く礼儀正しい挨拶、丁寧な接客……やはりサービスこそ偉大ですな!ただそれだけのことですっかりイイ気分になってしまう単純さ。にしても場所が場所、いわば観光地の最前線に押し出されているような店なので、きっと利用客も日々相当な数だろう。店内備品の消耗もちょっと奥まった立地の店とでは比較にならないくらい早いのかも知れない。それもあってか全体にややボロッとした箇所が目に付いて……あぁいや、6月10日から24時間営業になったのね?だからか……掃除する間もないワケで、それがゴチャゴチャの主因だろうか?BGM――70's&80'sヒッツが無節操のてんこ盛り。

 アメリカンクラシックチーズバーガー\980。「自家製でバンズを焼いています。100%ビーフを使用したパティをチャーブロイル(炭焼き)してジューシーに仕上げてあります」フカッとしたバンズは表面白ゴマ、皮にエラク糖分の甘味のあるバターロール系。バンズとしてはちょっと味が立ち過ぎているようにも思うが。中身はマヨ、チー、パティ、やや水気の多過ぎるトマ、単体で食べると辛いがしかし水分を豊かに含んだ生オニ、フリルレタス、バターを塗った下バンズ(heel)。パティはモヤッとしてかなり地味。それ単体では塩味を持っているようだが、味の主導権はマヨソース+バンズの甘味であり、トマ+オニの水分と相俟って全体としても丸い甘味のある、食べやすい味に落ち着いている。個々にはさほどとは思わなかったが、コノ辺りがバーガー的マジックの妙か。

 皿に注目――手前にGARLIC JO'S、奥にL.A.S.T――隠れた位置にAMERICAN HOUSEがちゃんとあるのだが、コレ、株式会社アメリカンハウスの経営する3店共通の皿らしく。他に計9つの店名で展開するハマの生え抜きは、横浜市内に留まらず、汐留、お台場……そしてなんと!カリフォルニアにも進出しているとはホントの話。でもってグループ店の一つ、ワールドポーターズに入っている南カリフォルニア料理のL.A.S.Tも同様にアメリカンなバーガーを扱っているとわかり、普段ならグループ店は"省略"でとりあえず済ますところを、ついふらっと……(つづく)

2005.8.1 Y.M

L.A.S.T

[みなとみらい]
# 81

 さてクイーンズスクエアから運河を渡ってワールドポーターズの5F。上記アメリカンハウスのグループ店にして、汐留にも出店を果たした南カリフォルニア料理の店。"南"って……ただのカリフォルニア料理とは違うのか。どういう料理が出て来るかはわからぬが、出てくる料理のボリュームだけは容易く想像のつく店構え……こういうアメリカンダイナーな店って得だよネ。ボリュームたっぷりのアメリカンサイズの凄まじさにお得度満点!ワイワイ取り分ける門にゃアンハッピーな福なぞ来ぬわいなと。だからイイコトずくめ!だからこそ……!!入店には"覚悟"が必要……対岸で1個食べ、運河渡っただけの間隔でさらにバーガーもう1個、果たして食べられるのか……??「バーガーは別腹」――なんて腹、私は持ってないので、その辺根性だけで何とかやっとります。でも大丈夫!味覚だけは正常に保つよう、努めておりますので……

 ワールドポーターズの広大な空間をふんだんに使った広々とした店内。しかも窓外はコスモワールドの大観覧車という好立地。基本はアメリカンハウスに同じ。赤白チェック柄のテーブルクロス。ギトギト真っ赤なソファも背を低くして健在。でも大多数は椅子席。そして壁が茶色になって、コレでグンと落ち着いたダイナーでクラシカルな雰囲気に。こちらも接客がちゃんとしていて、テーブルの担当者はまず名を名乗ってからメニューを渡す――昨今稀に見る武士道精神。スタッフは一様に縦ジマの、アメフトだかホッケーだかのレフェリーの恰好――但し下はジーンズ。どうせなら下も黒のスラックスで決めてくれるともっと良いように思うのだけれど。BGM――ダル目のソウル/ブラック。

 アメリカンクラシックバーガー\1,250。お好みでチーズも……とあるのは料金の内らしく、トッピングではない。アメリカンハウスとはいろいろと違う。皿は無地。フレンチフライの太さも違う。バンズは皮がフランスパン的なやや張った感じで、ケシもゴマもなし。中身――甘いマヨソー、フリルレタ、生オニ、赤々としたトマ、チェダーチー、パティ、バター塗った下バンズ(heel)。パティがヒット!アメリカンハウスに似たモヤッとした感じなんだけど、肉汁がよく滲み出てその分食べやすい。やはり甘めの、角のない丸い味。タテに割ったピクルスはアメリカンハウスと同じ味だった。あとはコールスロー、コイツは付け合わせとしては最高!

 店名のL.A.S.Tとは「Love. American. Story. Time」――なんだ、カタコトじゃんか。アメリカンハウスに至ってはベッタベタの一般名詞、'78年当時はこんなネーミングが通用するご時世だったのね……と、この国の当時を振り返ってみたり……
 ところでSTOVE'SFLASH BACK CAFETROUBADOURもそうだったが「同じ経営者が同じ市の中に、それぞれ名前の違う店を何店も持っている」というパターン、多いね。しばしの間過ごした鳥取においてもそうだったのだが、ちょっとイイ感じの店があって入ってみると、同じようにイイ感じの何処々々と姉妹店……というのがほぼ例外ナシのパターンだった。やはり限られた市域の中では手を変え名前を変えて、趣向をちょっとづつずらして店を出してゆく――というのが定石なんだろうか。こうした手法には強く地方都市的な匂いを感じ取ることができるように私は思う――経験的に。そう考えるとラッキーピエロはエライね〜。ラキピーに限っては函館市内外に10店舗余り、すべてラキピーの看板でチェーン展開という、愚直なまでの道の切り拓き方を見せている。まぁ目指すところが違うと言われればそうなのかも知れないが、とにかくラキピーが異常で、アメリカンハウスなどの展開のさせ方の方が至極正常と言って正しいのだと思う。……あぁ最後にアメリカンハウスとL.A.S.Tの違いをもうひとつ――L.A.S.Tはサービス料しっかり10%。でもあれだけしっかり対応してくれたら十分納得の10%と言うことで――

2005.8.6 Y.M

California Diner Bu

[センター南]
# 110

 お店にしてみればアルバート・ハモンドばりの青い空をバックに撮ってくれた方がホントは嬉しいんでしょうけど、でも、きっとカリフォルニアにだってママス&パパスみたいなグレーの空もあるでしょ……ってことで on such a winter's day ――

 私はかつてこの辺りに住んでいた……って話は軽く流す。その頃に比べれば景色は間違いなく一変したし、まーよくもここまで人が増えたモンだという驚きや感慨もあるにはあるのだけれど、しかしこれでも当初計画の何十%くらいの進捗なのかな?まだまだ空地が目立つ。港北ニュータウン計画はハナから何十年という単位で遅れ遅れで……というのは、当時私がまだ小学生だった頃から聞かされていた話である。駅から続く店の並びが一応終わって、ココから先は住宅街に入ります……って"分かれ目"交差点の一角に、6店ほどテナントが横並ぶ平屋建てがある。多分わりと短い工期と簡単な工事で建つであろう経済的建築。それでも店前に歩道より3段高いボードウォークを擁したアチラのショッピングモール風の構えで、Buのような店にはふさわしい外観だろう。ココの1/6がBu。店内は想像していたより数倍狭い。壁・天井の白に床・テーブルのダークブラウン。シンプルなツートーン。サーフボードなど、要所に南加テイストを配置。プロジェクターが白壁"直"に映していたのは――『ビッグ・ウェンズデー

 狭い店内を抜けてテラスに出ると、そこは地上3m、空中に張り出した物干し台の様な造り。左右を窺がうと他店もそれぞれに小じんまりとした"マイ・テラス"を張り出している。足元はニュータウンによく見られる、立体交差して車道の下を抜ける遊歩道。近所の子供たちの遊び声が賑わしい、生活感溢れる南カリフォルニアの休日――。BGMは店内から微かに漏れ聴こえてくる程度だったが、ジェイムス・テイラーの「きみの友だち」は確実に流れていた。あとビー・ジーズ「ステイン・アライヴ」、ワイルドチェリー、スイートの「フォックス・オン・ザ・ラン(←ややレア)」など。キッチンからはパティをこねる音が聞こえてくる――いや"叩く音"と言った方がよいかも知れない。普段よく聞くペタペタ……という小刻みなリズムではなくて、パチッ!パチッ!という感じの高域の効いた音で、一回一回に力を込めている感じが伝わってくる。こんな音は今までに聞いたことがない。

 チーズ・バーガー\1,100。カラフルな皿のデザインが効果絶大!白ゴマのバンズは裏マスタード、レッドチェダー×2、パティ、生オニ、粒胡椒、トマ、フリルフリッフリのリーフレタス、マヨ、下バン。「味付けは少量の塩と胡椒のみで、素材を味わうカリフォルニアスタイル」……しかし、つぶつぶ胡椒を中心とする塩味はそれでもけっこう押し気味のように思えた。150g粗引きパティはコリッコリした歯応えでワイルドこの上ない。夜はスペアリブが自慢の店、肉の"魅せ方"は相当に心得ている。2枚重ねのチェダーチーズも威力を発揮――だからだろうか、やはり全体に塩が強めなので、ココに甘いケチャップをかければちょうど好いところに落ち着くのでは――と考えて、かけてみたところがビンゴ!逞しいパティをしっかりしたバンズで挟んだバーガーは安定感抜群、ふんだんに振られた胡椒は"鋭利な"と言うより"骨太な"刺激。西岸の味は概して薄味であることを日本国内での経験で知ったが――説得力に欠けるなぁ……でもココココもそうだったから――コノ店はそうでもなくて、なかなかにごっついバーガーを楽しませてくれる。付け合わせはクリスフライ――クロス状にカットしたフライドポテト――ココで出て来たのはコレだ!あとパプリカやらカリフラワーやら入ったピクルスは盛り合わせ的お得感大!これにもペッパーひと振り。

 店名Buはマリブのブーだそうで、以前L.A.S.Tで、南カリフォルニア料理ってナニ……?なんて話があったけど、なるほど"南"に対して何かしらのステータスというのは確かに在るワケですな?イイ〜波来る地点とか。サーフィンをテーマにしたお店はココにもあったけど、ホントはこんなロケーションに店構えられたら言うコトないんだろうネェ〜。少し手狭な気はした。きっと自身そう思っておられることだろう。出来たらこの棟の2コマくらい("コマ"って展示会じゃないんだから)、ちょうどヤシの木の植わってる前辺りを2コマ奪って大きく構えたら、店のカラーにもハンバーガーのテイストにもぴったり合うように思う。さらに言えば店の前に駐車スペースがあって、ごっついアメ車がブゥーーン……と乗り付けて来たりして……イイでしょ?それこそ夢のカリフォルニアだね

※'06年9月末をもって閉店してしまわれました。カリフォルニアの夢が……(2006.11.15)

# 174 LATINO HEAT [茅ヶ崎]

2006.1.19 Y.M

Daffy's

[元町・中華街]
# 112

 かつてバンドホテル(BUND HOTEL)のあった少し先。バンドホテルについては……こちらが詳しいかな?私も70年代のバンドホテルの姿というのは朧気ながら覚えている。とは言え5歳や6歳の童には、何やら黒々した巨塊が聳えている――といった程度のイメージがせいぜいで、今日あらためて資料を当たってみるに、一度でいいから入ってみたかった……と思うことしきりなのだが、今となっては後の祭り。ナイトクラブなどというものがあった時代と言うのは、世の中全体がエラク背伸びしていたか、あるいはそもそも世の中全体がいまと比較にならないくらい早熟だったか――多分後者だろう。自我の確立が年々遅れ、アダルトチルドレン化が深刻と叫ばれて久しい平成日本の御世である。私如きがShell Room に行ったところで「ホラホラ!こどもの来るところじゃないよ!」と追い返されるが関の山。平和で豊かで安定した今の時代からは、裕次郎のようなオトナな大スターが生まれることも最早無いだろう。ホテルの跡地に建ったドン・キホーテは、まるで"今"この時代を象徴するかの様な、チ○ドレンな存在に映る。

 住所は新山下。80年代でも随分寂しかった街外れ/港外れだが、それが今や通りは一大マンション街へと変貌している。しかしそうなった今でも一抹の寂寥はなお拭い切れず、埠頭の無表情なダークグレーの印象が視界から消え去ることはない。大型マンションが成すコンクリ壁の間をしばし走ると、道はやがて小港の交差点に出る。SEAMEN'S CLUBMOON Cafeはすぐそこだ。

 大モトはSHAKEDOWN STREETというカリフォルニアスタイルの古着&Tシャツ屋なのだが、大モトSHAKEDOWN...Daffy'sの店内に在る。「カリフォルニアスタイルの古着……」というテイストは、TROUBADOURを経営するMOTHER LUCYと相通ずるか。'02年オープン。初めはMOONGOOSEという名のアメリカンバーだったのが、最近ハンバーガーショップにリニューアルしたそう。なかなかに造り込まれた店内。床から壁から扉から天井からぜ〜んぶ木製。狭いながらもイメージを形に出来ている印象。入り口にサボテン(この場合シャボテンと呼ぶべきか)、随所にカリフォルニアが散りばめられている。トイレなんざぁゼスト真っ青の凝り様で、トイレットペーパーのホルダーなんてホントにこんなのアンの?と考証を疑いたくなる器具が取り付けられており(ま、創作なんでしょうけど)、カギに至ってはどうやって閉めたらよいのかよく解からない半端無い作り。6人掛けの大きなウッドテーブルの両サイドに同じく大きなベンチ。あまりに店にピッタリはまっているから多分特注だろう。店内2箇所にカラフルな服が架かる一隅があるのだが(この場合"一隅"とは言えぬネ)、SHAKEDOWN STREETは11時から18時までが営業時間、Daffy'sは15時から翌1時までで、SHAKEDOWN...Daffy'sの関係はこの店内においてはどうも主客転倒して……ン?違うのか。Daffy'sの営業時間に合わせて服は全部片付けてるのか(不明)。

 チーズバーガー\900、ドーム型バンズは表面ケシ・ゴマなし、ツヤのあるタテの弾力。裏バター、生オニ×2、ピク×2、トマ、白いチー、パティ、レタ、下バン。パティは薄味で微かにナツメグの香り。トマトも薄味。全体に穏やかな作りの中、バンズの弾力に富む食感がひと際印象に残るあっさりしたバーガー。付け合せはフレンチフライ。BGM――ボブ・ディランの90年代のライヴ盤からライ・クーダー『紫の峡谷』へと。ターンテーブルがあり、カウンターにはLP盤が並ぶ。店内其処彼処にチーチ&チョンのポスター、写真が飾られている。よほど好きでないとコレは有り得ない。例によって私は未見だが(店内無音で映画流れてたけど)、ちょいと興味を覚えてしまった。観てみますかな。こんな寒〜い冬には有り難い、木の温もりにホッと心安らぐお店。

2006.2.5 Y.M

Hungry Tiger

[保土ヶ谷]
# 115

 父が運転するクルマの後部座席から、いつも見ていた――高台に迫り出す大きなガラス窓を。そしていつも想像するのだった――煌々と輝くその窓の中で過ごす、家族団欒のひとときを――。横浜新道下り車線を走っていると新保土ヶ谷IC手前の左手高台にそびえて見えるその姿に、幼い私は一種中産階級的豊かさの象徴のようなものを思い描いていた。

 70年代は外食チェーンの創業ラッシュ――という話は何度かしたが、確かに当時、家族揃って外で食事をするということには、いまとは少し違う意味合いがあったように思う。2006年の今日、家族が近所のファミレスにふらっと出掛けて夕食をとるのとは、気構えも気の持ち様も違っていたのではないかと――飽くまで朧ながら、何やらそんな記憶と印象が残っているのである。'69年創業以来の建築というこの保土ヶ谷店の建物には、時を経て今日なお当時の記憶――或いはステイタス――が漂う。

 やはり当時の建物は"本物"である。S造(鉄骨造り)。有に3階建の高さはある高ーい天井は太ーい鉄骨の梁がむき出し。内装には木材を多用し、大きなロッジ若しくは体育館のような、とにかく巨大な空間である。目を惹くのはバイパスに向いた一面のガラス窓、中央にワイヤーで固定された背の高いトーテムポール、そして店のシンボルチャコールブロイラー。石組みの上に渡された鉄棒の上で焼かれる、それはそれは大きなフットボール型ハンバーグパティは、800℃に達する炭火の高温に余分な油を落としながら、シューシューと絶えず白い蒸気を上げている。立ち上るその煙はブロイラーの真上に設置された"超"巨大&強力ダクトに、白い筋となって吸い込まれてゆく。このコックピットのように突出したブロイラーの背後に控えるキッチンは、城郭建築顔負けにごつい石垣(?!)に囲まれている。この辺の本気の造り込み様こそ年代の為せる業だろう。

 高温で炭火焼されたハンバーグパティは、テーブルに運ばれた後、客の目の前で横に2つにカットされ、火の通りの弱い内側を320℃の鉄板に押し付け更に焼いて、料理の仕上げをする――この半焼け(正確な表現は失念)の焼き方が本来の"売り"だった。ところが折しもO-157が社会問題となっていた頃、コノ店でも出してしまい、それを機に以前よりよく焼き込むよう創業以来の"売り"を改めたが、結果として店舗数を大きく減らしてしまう。現在市内に4店舗のみとなったが、しかし人気はいまだに高く、客待ちの常に絶えない店である。保土ヶ谷店はなんと地下に週末夜限定の待合室があって、オセロ、トランプ、ぬりえなどして長い待ち時間を過すことが出来、更には軽食もとれるようになっている。ハングリーバーガーはこの待合室の看板メニューでもある(昨年から始めたそうで)。

 料理はどれも十二分な質と量。対して値段は安い。日替わりのスモールスープ\300は他店ならレギュラーサイズ。この日は実に細やかで深みのあるクラムチャウダーだった。保土ヶ谷店"限定"ハングリーバーガー、ソフトドリンク付\1,155。くすんだ茶色の胚芽バンズは通好み、実に渋い選択だ――と言うか、セットのパンとほぼ同種のものである。裏バター、長いピク×2、冷えたトマ、サウザンソー、大き目に裂いたシュレレタ、キャラメル色になるまでソテーしたオニ、パティ、下バン。付け合せはフレンチフライ。さらにマスタード。このマスタード、口当たり実にクリーミー、食べ終わるころ苦辛い味をじんわり効かせる逸品。サウザンソーも同様にはいり口なめらか、食べるうちキュッと酸味が効いてくる。先述のような焼き方により、ココのハンバーグはパラパラ・ザラザラとした粗い肉質を特徴としているが、これこそワイルドでダイナミックなアメリカンバーガーには向き。バーガー用にはちゃんとパティを平らにするようで、ゴロンと食べづらいことはない。香ばしい炭火の匂いの漂う中、粗めの肉感と、噛み締めるほどに滲み出す肉の風味とのバランスが抜群。さすが肉の専門店と呼ぶにふさわしい、"肉"を知り尽くした絶妙の味のコントロールである。

 難を二つ挙げれば、レタスが畳まず千切ってあるため歯応えに欠けること、干瓢状のオニオンの味は人により賛否意見が分かれるかも知れないこと。グレイビー、デミグラス、醤油ベースの和風、トマトベースのイタリアン、そしてもちろん直球でトマトケチャップなど、合わせるソースの数ある中で(ケチャップは付いてきたが)、あえて甘目のオニオンを選んだ辺り(ココもそう)、このバーガーには一種の独創性が感じられる――と言うか、ハンバーグステーキの付け合せのオニオンがそのまま使われているという、ただそれだけのこと。あまり汁気の多いソースだとバーガーには向かないのでいずれ工夫は必要だが、これだけ美味しいハンバーグ屋のパティだから、どうせなら肉らしい豪快な味付けでいただきたいなという欲求も、特に隣の席でジュージュー音を立てるステーキなど横目に意識してしまうと、つい思ってしまう。ともかくオニオンの甘味のよく効いたバーガーだった(実はソースが少量だっただけかも知れないが)。

 いや、実はもっと単純で明快な動機によって作られているバーガーと言ってよい。つまりテーブルの上に並べて置かれたセットのパンハンバーグステーキ付け合せのオニオンサラダのトマト&レタス――を集めてタテに積み重ねれば、このバーガーは出来てしまうのである。何か特別な作り込みや準備によってでなく、そんな単純な応用の利かせ方でこのバーガーが成り立っていることを、そうこなくっちゃ!!と私は何故だか嬉しく思う。量は見た目以上、最後のひと口まで肉厚なパティの存在感を堪能できる。私が今まで肉の専門店に寄せていた期待に初めて応えてくれたバーガー。

 さてこの記事を書いている最中に相鉄ジョイナス店の閉店が発表された。これで駅から歩いて行ける店は無くなったワケである。今まで当"隧"道で紹介してきた店の中では珍しくファミリーの似合う店であり、何より外食ブームの牽引役として時代をリードしてきた老舗である。これからも是非40年、50年と歴史を積み重ねていって欲しいハマの名店なればこそ――負けるな、肉屋の息子のレストラン!

※その後、日野店・港北センター南店でも販売を開始(2006.9.9)

2006.3.4 Y.M

MARDIGRAS

[たまプラーザ]
# 124

 何事にもライバルという者は存在する。南口の住宅街に忽然と姿を現わす一軒家トルバドールと対を成すかのように北口に在るのが、このマルディグラである。

 「MARDIGRAS」とはニューオーリンズのお祭りの名前であることが、お店自身のサイトを除くWEB各所に説明されているが、コノ店の構えはトルバドールのウェストコースト調に対して、南部の香りを強く匂わす、丁度ゼストのようなコンセプトである。そう、まさにゼストに匹敵する徹底したインテリア、見事な空間演出。マンション1Fのテナントなのだが、その赤レンガタイルの外観が、コノ店の部分だけびっくりするくらいに世界が違っている。過去に訪ねた店ではSTOVE'SFIREHOUSEが同様な赤レンガタイルの建物に収まる条件だったが、店の前に立ったときに感じる異世界度はそれらの比ではない。きっと建物1Fの全面に亘り外装を施しているのが効果として大きいのだろう。

 中はワンフロアにして非常に広く、2店舗分の面積を使っているであろうたっぷりと贅沢な空間の取り方で、羨ましい限り。かなり頻繁にライヴが行なわれている様なのだが、この広さならステージも客席も楽々とセッティングすることができるだろう。本当に羨ましい限り。渋い色の木のフロアに薄い水色のテーブルクロスを掛けた丸テーブルと、よく見るとデザインのバラバラな椅子が無数に並べられている。天井を飾るギター、バドワイザー、あとボトル……(嗚呼〜!あの天井の酒瓶のバルーンは一体何という酒なのだ!酒飲みでないから判ら〜ん!!)。羽と首飾りが其処彼処に懸かる。BGM――ちょい南のちょい荒いロックが、ちょい心に染み入るちょい渋さ。

 チーズバーガー\850、付け合せにポテトどっさり。一見どら焼き状の平らなバンズ、表面何もなく不思議な皺の寄り方。裏バター、細長く切ったシュレオニ、トマ×2、緑濃いサラダ菜、どこかにソース、チー、パティ、下バン。そしてバンズ頂上にスッパ辛〜いピクルス!どら焼き状バンズは食べると豚まんの皮に近いウェットな食感。豚まんと言うかこの場合牛まんですナ。パティは極めてやわらかいハンバーグ、静かにかかるソースと薄ーく伸びて縮んだチーズでおとなし目の味付け。

 テーブルチャージが午後10時まで\315、それ以降\525。平日は午前4時まで、週末は5時までやっている。こんなゆったり広ーい店で好きな曲を好きなだけかけることが出来たらなぁ〜と、久しぶりにそんな思いに駆られた店。

2006.4.24 Y.M

Windjammer

[石川町]
# 132

 今日は横浜のJazz Cocktail Loungeに来ています――イイネ、この導入

 中華街、石川町の駅へと至る西門通りのちょうど中ほどに位置。各所で紹介されているので基本説明は引用で――「大型帆船を象ったBARです。JAZZの生ライブを平日5回、日・祭日4回演奏しております」「ウィンドジャマーとは帆船という意味。カウンターの板や、オブジェとして飾ってあるオールや舵輪は、実際に使用していた船を解体して再利用したもの。渋〜いムードで聞くジャズはまた格別……」とまぁそんなお店。大型帆船の甲板や舳先でなく、船内に籠もってジャズを聴いているイメージで、上下四方を完膚無きまで"木"で囲まれたこのカプセル感が……たまんないんだなぁ〜!現在地を忘れること請け合い。

 渋〜いジャズと聞いて、何か眉間に皺寄ったものを想像する向きもあろうが、そこまでシリアスな感じはコノ店にはなく、中華街という場所柄か、何かちょっとキラキラとした遊び心も覗かせつつ、意外と重くない打ち解けた空気の中で、みんなしてわいわい楽しくやってる感じ。ちょうど季節柄オモテの扉が開け放たれて、通りの賑わいまで店の中に入り込んでくる。ふらり迷い込む客の着こなしも華やかだ。冬場は冬場で締め切った感じの暖かさがまた堪らなく良い雰囲気に違いない。何だか吸い寄せられる魅力が在りますナ。独りでグラスを傾けるもよし、大勢で来て盛り上がるもよし、どちらもいける便利なお店。2Fはウィンドジャマーワーフになっている。こちらもJazz Cocktail Lounge

 店奥のカウンターに囲まれた一角が一段上がってステージに。演奏のないときはヴォーカルものがゆったり流れて、お酒な雰囲気たっぷり。炭焼きキャンプテンズバーガー\1,350、キューバリブレも普段飲んでいるのより数等美味しくて、ひと口目からクラクラ来てしまった。とにかく……久々に大きさで驚いたバーガー。ご覧の通り網跡鮮やかな炭焼きビッグパティが、帆船の渡る大海原よろしく、ダダっ広ーくビヨーンと伸びている。厚味はさほどでも。バンズはツヤなしオモテ何もなし、平たーくて、これまた果てしない。裏マヨネーズ、フリルレタスが来て、トマトと白い輪切りオニオンが2組ずつ――きっと酒の肴に何人かで取り分けたりもするのだろう。あぁ、トレーダーヴィックスも×2の作りだったな(あとMOS's-Cも)。酒場のバーガーには何かこうした鉄則でもあるのだろうか。パティの下にはケチャ、下バン。

 味は分かりやすい足し算で、炭焼きの香ばしい匂いを感じながら、ひと口またひと口と大海を制してゆく感じ。そうそ、季節も良いのでタマネギが甘く、口当たりは悪くない。目指す大陸は何処(いずこ)……というくらい、このバーガーの量はとにかく果てしない(ま、今回チーズ載せなかったしネ)。航海の途中……と言うか、港を離れてすぐ、手はドロドロにまみれ、アレアレ……と思っていたところに、折しもピアノトリオの1stステージ……繰り出す軽快なスウィングビートに、もぉノリノリッ〜!食べるピッチもズンズン加速。コルコヴァード聴きながらユラユラとバーガーの海を平らげた。ヤー、結局のところ演奏にヤられたね。音楽こそ最高の食事の供。チャージ\300でこんなにリッチでグルーヴィーな気分に浸れてしまうんですから。付け合せもポテトサラダにピクルスの盛り合わせと、なかなかお得。

 聞けば"キャプテン"の上にさらに"司令官"なるバーガーがあるそうで、もうそうなりゃ3〜4人前なんでしょうネ。'72年のオープン当初からハンバーガーを置いていたのかどうかは聴きそびれたが、名物的位置付けで今も大活躍している。2,000種類に及ぶカクテルとゴキゲンなジャズ、そして何よりこの息を呑む船内の空気の中で過ごす横浜の夜は堪らなく贅沢だ(帰りたくないヨォ〜)。クセになるネ。通りの喧騒から店の中に一歩足を踏み入れた、アノ瞬間に一番ドキドキする。

 オォ……!今日6月2日は横浜開港記念日

2006.6.2 Y.M

CoCochi

[藤が丘]
# 166

 アメリカ北西部、マウントフッド――カスケード山脈の中ほどに位置する標高3,426mのこの山は、ソノ道の人なら知らぬ者なきスノーボードのメッカである。長野五輪出場を目指す後藤麻里さんは、このマウントフッドで毎夏トレーニングに励んでいた。


●標高3,000mで食べるサンドイッチ

 長野オリンピックで初めて公式種目となったスノーボード ハーフパイプは、当時まだできたばかりの新しいスポーツで(詳しくはWiki参照のこと)、とにかく国内に「いいパイプが全然無かった」ことから、その"いいパイプ"求め、マウントフッド(Mount Hood)の麓、オレゴン州ガバメントキャンプ(Government Camp, Oregon)に文字通り「キャンプイン」するのが、後藤さんの毎年6月の恒例だった。

 「北半球で夏でも滑れる」数少ない山の一つであるマウントフッドには、この時期、世界中のトッププロが大挙集結して綺羅星の如き輝きに満ち溢れる。ガバメントキャンプは、そうした世界のボーダーたちの一大トレーニング拠点として機能する小村落である。

 後藤さんの定宿はハックルベリーイン(Huckleberry Inn)。ココのレストランで食べたハンバーガーの味(ユニークな名前のオムレツも6種)、そして毎朝、食パンの間に適当に具材を挟んで携え、マウントフッドの山腹で、鏡のように空を映す湖面を眼下に見ながら、温かい飲み物とともに食べた標高3,000mのサンドイッチ――コレが美味しくないワケないでしょ!

 究極に美味しいシチュエーションとともに記憶された料理の味は、ときにレシピを越える宝物になる。庭先のバーベキューで作るハンバーガー、家庭の朝食に登場するパンケーキ――"本場"アメリカで後藤さんが体験したものは、作り方ではなく、美味しい食べ方。カタチでなく、ニオイ。こうしたアメリカの活きた体験が、CoCochiのメニューの原点になっている。

●常に雪の上

 雪のなくなる8月半ばまでマウントフッドで過ごし、日本への帰途、ニュージーランドに寄って10月まで1ヶ月ほどまた練習。帰国後は旭川などを拠点に、国内の大会を4月まで転戦し、そして6月にはまたオレゴン……と「ほぼ1年中雪の上」の生活を4〜5年の間繰り返した。ほとんど「明け暮れ」というレベル。

 ある年、後藤さんは長野県・白馬のロッジにひと冬住込みでトレーニングしたことがあった。一日の大半をゲレンデで過ごすかたわら、ロッジの食堂を手伝い、夜中には翌日の仕込みをこなす――以来後藤さんは、こうした宿所や飲食店での仕事を続けてゆくのだが、中でもこのとき白馬のロッジで覚えたことが、今でも大いに役立っているという。ココチ開店への伏線は既にこのとき敷かれていた。


背後にマンションを従えた住宅地型立地

●ランチビール

 さてココチの話――

 バーガー8種、パンケーキは食事系3種にデザート3種の計6種。サンド3種、ロコモコほか。当初23時まで営業していた名残りでアルコール多数(今は19時まで)。生ビールはサッポロエーデルピルスという、コレまた変わったチョイスでジョッキ\600。広くて明るい店内にハワイアンがゆる〜く流れて、これは昼間っからビールっしょ!と思ったらランチビール\400にランチワイン\300もあって、なかなかに心得ていらっしゃる。


●カリンの木と個室

 ハンバーガーショップと呼ぶにはあまりに広い店構えは、かつてイタリアンレストランだった物件を内装ごとそのまま引き継いだもの。床壁、そして一枚ものの立派なダイニングテーブルは、是皆すべてカリン(花梨)の木を使用した高級品。厨房も贅沢なほど広く、そこにマスター独りぽつんと立っていることがむしろ寂しく思えるほどである。

 しかも……30席あるホールの奥にはなんと!着席で8名入る個室が!!パーティーや会議・集会、英会話やフラワーアレンジメントなどの会場として多目的に提供している。トイレも車椅子サイズだし、ホールにはYAMAHAの電子ピアノにMABO ROYALのロングボードまで置いてあるしで、都内各店垂涎モノの贅沢なスペース――これぞ郊外の為せる利点というもの。


●ドゥ・リーブルのソフトフランスバンズ

 チーズバーガー\1,000。グリュイエールとモッツァレラから選択。町田の名パン店ドゥ・リーブルを口説き落として毎日配達させている天然酵母バンズは、香ばしいセサミがいっぱい。ややドライな口当たりのソフトフランス生地で、保湿に優れ、しかしパサつかず、淡白ながらも美味しい余韻を残す。裏がサクッと焼けて気持ちよい食感。中はレリ+オニ、トマ、チー、パティ、レタ、マヨ、下バンにはマスタード。これでもかと折り畳んだレタスは、それゆえにやや安定が悪いが、分厚く切ったトマト共々ボリューム満点。

 パティはその野菜陣を軽く一蹴するかのような堂々たる存在感。ソレ単体で「ひとつの肉料理である」という信念の下、肉の粒子を壊さぬよう成形の仕方を工夫して肉らしい食感を表現し、塩コショウは焼くときに振ってステーキらしい味わいを心がけた。その振り塩が脂の旨味と巧みに融け合って、柔らかくジューシーな肉の味わいを引き出しており、またレリッシュのゆるい甘味もパティの味を殺すことなく、よいバランスでコントロールされている。チーズはグリュイエール、モッツァレラとも、縁の下的存在で表立つことはない。

 過度な演出を施さずに肉の自然の旨味を軸にバランスされた、シンプルかつプレーンなバーガー。非ソース系として、ある種理想のカタチを誇っている。余韻はレリッシュとバンズの甘味。付け合せはフレンチフライにピクルスの盛り合わせで、CP(コストパフォーマンス)も良好!

●ハンバーガーとパンケーキの店

 もうひとつの看板メニュー、アチラの家庭では朝から焼いてるパンケーキ。目下流行りのスイーツだが、時期が重なったのはただの偶然――しかしバーガーといい、食の流行はいま案外とアメリカンかも。

 焼くのはpan(フライパン)ではなく、このために用意した銅板のグリドル。生地にそば粉を加えてしっとりと弾力ある食感に仕上げている。ホットケーキとガレットの中間のようなユニークな一品で美味。量があるため、バーガー食後は困難か。一回にどちらかしか食べられないジレンマに陥ること必須。いやコレは悩むヨ……

§ §

 これだけ強くアメリカを根底に持ちながら、店名は「心地好いのココチ」と、まったくの日本語であるというオチ着き。郊外の住宅街という場所柄、週末の昼どきともなれば、示し合わせたかのように店内ベビーカーを押した若夫婦一色。平日の3時4時はグッと落ち着いて、すぐそばの昭和大学病院のドクター辺りが安息の地を求め、ふらりとやって来る。

 結局、五輪代表は武山香里・吉川由里の両選手に落ち着き、後藤麻里は五輪を節目に競技生活からスパッと身を退くが、スノーボードは今でも楽しんでいる。「その店に行かないと食べられないものが作りたい」と見据える先に一切迷いが無いのは、過酷な競技生活の間に鍛錬された集中力の賜物か……って、ソレとコレとは別物かな?定休日無し――それこそトレーニングで得た強靭な体力の賜物だろう(※'07年6月より水休に)。


'07クリスマス限定 フォアグラバーガー

【二ッ目!】CoCochi [藤が丘] のベーコンチーズバーガー
# アボカドバーガー ◆ CoCochi [藤が丘] のアボカドバーガー
# Christmas'07 ◆ vol.2 CoCochi [藤が丘] のフォアグラバーガー

― shop data ―
所在地:神奈川県横浜市青葉区藤が丘2-3-1 桂ビル1F
東急田園都市線 藤が丘駅歩2分 地図
TEL:045-972-2848
URL:http://www.cocochi.cc/index.html
オープン:2006年8月
営業時間:11:30〜19:00(18:30LO)
※19:00〜は予約・貸切のみの営業
金曜日:11:30〜22:00(21:30LO)
ランチ:11:30〜15:00
定休日:水曜日(要確認)

2007.3.4 Y.M


Bigmamacafe

[横浜・北山田]
# 200

 以前、この辺りに住んでいたのである。小学一年、初めての遠足は山田富士だった。まだこの一帯が港北区だった頃の話である。


●港北ニュータウン

 港北ニュータウンという、美しく整備された、文字通りの「新しい街」が造られるという計画を、課外授業などで幾度となく聞かされ、こども心に胸躍らせていたものである。と言うのも、我が家の隣家は敷地の端に豚小屋を有する農家であったし、玉子は鳥小屋がある別の農家に買いに行っていたし、裏ヤブにはマムシも青大将も棲息していたし、外に出ればヤブ蚊に刺され、走れば肥溜めに落ち、都市ガスも下水道も無論来ていない――わずか四半世紀前の話なのだけれど、天下の横浜市とて、ちょっと内陸に入ればそんな環境だったのである。

 なので「ニュータウン」という言葉に当時小学生の私は、まばゆいばかりに明るい「未来」を夢見ていたのである。

 学年が進むにつれ、何もなかった周囲の山々の造成が進んだ。計画に関わる立ち退きで、仮設住宅に住んでいたクラスメイトも何人か居た。裏山を分け入ると突如視界が開け、人造の奇怪なる地形が現れて、それはこどもたちにとって格好の探検の場ではあったのだけれど、しかし虫取りが出来るでもなし、草木一本生えない、ミョウに「カクカク」としているだけが取り柄の土地でしかなかったので、好んでまた遊びに行こうという話にはならなかったことを記憶している。


●グリーンライン

 コレは「私の履歴書」ではないので、いい加減、話を本題に移す。

 この北山田(きたやまた)の辺りも大同小異、昔はそんな場所だった。草「浅からぬ」コノ地に、コノ店は10年前から既に在ったのである。実はその名はかねて知っていたのであるが、よもや10年選手とは……大変長らく失礼致しておりました。

 交通手段が限られていたこともあり、なにぶん行く機会を得なかった。ところが今年3月にグリーンラインが開通し、北山田駅が開業したことにより、店の立地は駅歩2分の好アクセスへと一変したのである。

 そんな駅開業計画を知ってか知らずか、オーナー織茂さんは代々地元の人である。

 店を始めたきっかけは、"ものごころ"付いた頃、「周りにカッコイイ先輩が居たから」。彼らに着いて方々回るうち、Boogie Cafe、MOON cafe、イタリアンガーデン、BUBBLE OVER、TROUBADOUR、そしてそれに続く世代のSTOVE'S……横浜・本牧の名だたる店々に親しんで、やがて自分のやりたいスタイルが解かってきた――だから後は「出せばいいんだ」と、一気呵成に出したのがコノ店である。


●どこにあってもカッコイイ

 「横浜の店って好きなんで」という織茂さんは、横浜の街と店々の変遷を、一人の「客」として、身をもって体験してきた人である。

 「カッコイイお店って、どこにあってもカッコイイじゃないですか」――町外れに在ったり、やや判りづらい場所に在ったりと、横浜にはその立地や構えからも、ある種の「粋」を感じる店が多い。そんな在り方に学び、織茂さんも敢えて場所にはこだわらず、人里離れた(?)コノ地元で店を始めることに決めた。なのでクルマやバイクの方が行きやすい。もちろんどちらも織茂さんの趣味である。ノマドとか。ハーレーとか。

 ハンバーガーは絶対出そうと思っていた。但し、ただ頬張り、かぶり付くだけが目的の場所としてでなく、食べているその姿、取り巻く雰囲気も含め、何より店"トータル"のスタイルとビジュアルに重きを置いてコノ店を造った。

 席数34。ゆったりとした、そして「世界」に集中できる良い空間である。スツールの並ぶ白黒チェックのフロア。一段上がった板張りのフロアにはダーツとピンボール。プロジェクターがモーターショーの映像を映し出し、ネオンに赤く照らされたカウンターには、仕事帰りに(あるいは仕事を中抜けして)オーナーと会話を楽しむ常連歴々。BGMは割りとイマドキなロックch。

 アメリカにも何度か渡った。唯一おいしいと感じたハンバーガーは、サンディエゴの街中に在る……ベースボールキャップかぶったファットなオヤジが焼いてる……って、それ「ホーダッツ(Hodad's)」でしょ?川越オートマンダイナーの大将もその名を挙げている。「古くさいラーメン屋っぽい香りがした」とのこと。


●10年ひと昔

 「昔はこんなじゃなかった……」と言うのは、今でこそネット調べりゃ「何か出てくる」世の中だが、10年前は仮に気に入った椅子や雑貨を見つけても、どこで買ったらよいのやら、それがまず判らない。おまけに高い。どうもこの10年で事情は一変したようである――それこそニュータウン並みに。そういう時代の「変化」を、織茂さんは見てきている。

 料理もインテリアも、それこそ雑誌(しかも「POPEYE」などの一般誌)で小さな写真を見つけては切り抜き、それをほぼ唯一の貴重な情報源としていた(福岡SEA DINERの馬場さんも同様の経験を語っている)。

 そんな状況だから、アメリカンな内装に慣れた業者というのも特に居らず、床にタイルを張るのひとつとっても、それこそ切り抜きを見せながらの作業だったという。そんなこんなで総費用は現在の相場の3倍はかかっているだろう、との織茂さんの試算である。しかしおかげ(?)で、長持ちのする良い造りの店ができた。


●Bud & Burger

 メニューはバーガー6種類のほか、ナチョスやタコス、数人で取り分ける量のサイドディッシュが主。ドラフトはバドワイザー、夏には最適。サンドとロコモコはランチのみ。そのランチ、夜より安い値段で何やかんやと付いて、非常にお得である。

 チーズバーガー\1,125。添えられたタルタル(マスタード+マヨネーズ)はむしろポテトでゆくのが効果的か。野菜は積まずに"外"に並べて、生オニオン、リーフレタス、トマト。チーズはチェダー。最初からソースなどのかかっていない、「好きに味付けて下さい」というスタイルの、至ってシンプルなバーガー。「王道」とも呼べようか。

 パティは90g。かつて「お酒と楽しむ」スタイルを志向した名残から、やや軽めである。バンズとの量差、直径差をまず解消したい。そのバンズも生地にコシとバネがあれば、なお良いものになるだろう。あともう少しセサミを乗せても良いか。付け合せにピクルス、そしてフレンチフライ(シューストリング)どっさり。口に運んでいる時間としてはコチラの方が長いので、どうしてもポテトの印象が強く残る。

 ただ目下、パティからバンズから、パーツ全般の見直しを鋭意遂行中と聞くので、次回行く際にはきっと様子が一変していることと思う。さてさて、どうなりますやら……。


●次の10年

 オープンから10年。だが10年という歳月を感じさせない、しっかりとした良い造りの店である。「古いのと汚いのとは違う」――10年続けることが出来たので、次の10年は「年季を出してゆきたい」と織茂さん。

 なぜビッグママ「カフェ」と付けたのか――と言うより恐らく、当時「ダイナー」という言葉は、まだあまり使われていなかったのではないか。ハードロックカフェムーンカフェブギーカフェ、アロハカフェ、フラッシュバックカフェジャックカフェ……横浜の老舗はどこも「カフェ」と付く(この場合「酒場」といった意味合い)。横浜は「ダイナー」でなく「カフェ」――そんな土地柄なのかも知れない。そしてそんな横浜のカフェは例外なく、年月を越え、いつまでも末長く付き合える店ばかりであるようだ。


この入り口手前からの眺めが見事!

― shop data ―
所在地:神奈川県横浜市都筑区北山田2-4-20 ヴァンクレールU 1F
横浜市営地下鉄グリーンライン 北山田駅歩2分 地図
TEL:045-592-3331
URL:http://www.Bigmamacafe.com/index.html
オープン:1998年1月25日
営業時間:11:30〜15:00, 19:00〜26:00(25:30LO)
ランチ:11:30〜15:00(14:30LO)
定休日:月曜日(要確認)

2008.8.22 Y.M